2024年4月より相続登記が義務化されました!

不動産を相続する人に大きな影響を与える法律改正であるため、義務化の内容を理解しておきましょう。

相続登記とは?

相続登記とは、不動産の所有者が亡くなり、相続人が所有者になったときに必要な登記です。
たとえば、親であるAさんが亡くなり、子であるBさんが不動産を相続するとします。
この場合、不動産の元の所有者Aさんから、相続人Bさんに所有権が移転します。
この所有権の移転を公的に証明するために、相続した不動産の相続登記を行う事が法律で定められたのです。

相続登記義務化の背景

相続登記が義務化は、所有者不明の空き家対策の一環としておこなわれました。

義務化される以前は、相続登記は義務ではなく任意であったため、相続登記がおこなわれていない空き家が多く発生してしまいました。
所有者がわからない空き家は誰が管理しているのかわからず、自治体は管理の指導を誰におこなえばいいのか把握できません。

空き家の放置により倒壊や火災などの危険性があるため、危険な空き家を減らすことを目的に相続登記が義務化されました。

罰則

相続登記義務化にともなって、次のように罰則が設けられました。
【過料】
第百六十四条 (前略)第七十六条の二第一項若しくは第二項又は第七十六条の三第四項の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、十万円以下の過料に処する。

相続登記は上記の「第七十六条の二」に該当し、相続登記を法律に定める期日内におこなわないと10万円以下の過料が科されます。

相続登記義務化の内容

相続登記義務化により、今までの相続登記との内容が変わります。

主な変更点は、次のとおりです。

  • 相続登記の申請は3年以内
  • 法改正前の相続物件にも適用
  • 遺産分割協議が長引いたときの相続人申告制度

相続登記の申請は3年以内

相続登記義務化にともない、相続登記に期限が設けられました。

義務化により「不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内」に登記しなければならなくなりました。

相続登記できない理由がある場合を除いて、この期間までに相続登記をおこなわないと罰則の対象となってしまいます。

法改正前の相続物件にも適用

相続登記義務化により、不動産登記法改正前におこなわれた相続に対しても相続登記しなければならないことになりました。

遺産分割協議が長引いたときの相続人申告制度

相続人申告制度とは、相続人が法務局に対して「該当の登記名義人に相続が発生したこと」「相続人が判明していること」を申し出る手続きです。
相続手続きは相続人同士でもめてしまい、3年では相続が終わらないケースもあります。
3年以内に相続登記ができない場合は、期間を延長し過料の課税を先延ばしにすることが可能です。
ただし、相続人申告制度は相続登記の義務がなくなるものではありません。
相続申告制度を利用した後に遺産分割協議が整ったら、遺産分割協議が整った日から3年以内に相続登記を完了させる必要があります。

滅失登記は相続人1人で可能

遺産分割協議が長くなることが想定された場合、相続人全員の同意があれば建物の解体は可能です。
不要な空き家は管理が手間であり、中には倒壊など危険な空き家もあります。
そのような空き家を放置しておくメリットはないため、遺産分割協議成立前に相続人全員の同意を得て、先に建物を解体してしまいます。
建物の解体に必要な滅失登記は相続人1人が代表でおこなえるため、手間をかけずに不要な空き家を解体することが可能です。
ただし、解体の同意は書面にしてきちんと残しておきましょう。
たとえ無価値の建物だとしても、口頭だけで解体の同意を取っていると相続トラブルの原因になってしまいます。

メリット

固定資産税の軽減
更地にすると固定資産税の課税が増える可能性がありますが、解体後に活用方法を見つけて、例えば駐車場や新しい建物を建てるなどの活用を検討すれば、収益を生む資産に変えることができます。

売却が容易になる可能性

古い建物があると、買い手が解体費用を考慮し購入を躊躇することがあります。更地にすれば、買い手の自由度が増し、売却がスムーズになる場合があります。

老朽化建物のリスク回避
老朽化した建物を放置していると倒壊や害虫被害、近隣への迷惑などのリスクがあります。解体することでこれらのリスクを排除できます。

活用の自由度が高まる

更地にすることで、建て替えや土地活用の選択肢が広がります。

デメリット

固定資産税の増加
一般に建物がある土地は「住宅用地の特例」により固定資産税が軽減されていますが、建物を解体すると軽減措置がなくなり、税負担が増える可能性があります。

解体費用がかかる
建物の解体には数十万円から数百万円程度の費用がかかります(建物の規模や場所による)。これを短期間で回収するのは難しい場合があります。

売却後のトラブル可能性

更地にして売却した場合、土地の利用制限や地中障害物(地下埋設物)が見つかると、買い手とトラブルになる恐れがあります。

思い出の喪失
親族が住んでいた家を解体することは心理的な負担になる場合があります。

結論

解体を検討する際は、不動産の状態や立地、活用方法、相続人の意向などを考慮し、メリットとデメリットを比較することが重要です。
解体後の具体的な利用計画(売却、新築、賃貸など)がある場合、解体のメリットが大きくなる可能性があります。
専門家(不動産会社、税理士、解体業者)に相談し、費用や税金の影響を把握した上で判断するのが賢明です。
糟谷工業ではこうしたお悩みに対しトータルで対応し、必要に応じて様々な専門家をご紹介する事も可能です。

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